あざみ起毛という名前が、何十年も昔からアパレル業界で氾濫し、製品等に表示されておられるアパレル様も沢山ございますが、
あざみの実による起毛加工は、横編みニット・テキスタイルも含め、絶対に100%出来ません。(不可能)
また、あざみ起毛機=teaser raising machine と表記されたものも多々見受けられますが、Teaselはあざみでは無く、これも業界的大間違いなのであります。
なお、インターネット等で「チーゼルと言う名前のアザミ」とか、「アザミを乾燥させたチーゼル」など、
表記されているものが沢山出ていますが、これも全くの間違いです。
今回は、その大きな業界的大間違い(タブー)につきまして、起毛加工の専門業者として詳しく解説致します。
まず、「あざみ(薊)」につきまして
あざみは、キク科に属する1年草(品種により多年草も有り)の植物です。
タンポポと同じように、花が咲き終わり乾燥すると、種袋が爆発炸裂し、中から落下傘のような種子を出し、辺り一面に撒き散らします。
では、あざみの中で最もトゲの多いアメリカオニアザミの種が出来るまでの画像をお見せ致しましょう!
これでお解りの通リ、あざみを乾燥させてチーゼルになる事は絶対無く、種子化して、花(実)は、無くなり袋は萎んでしまいます。
また、あざみのトゲ程度では、サボテンのトゲと同じレベルの針なので、針が細すぎて、編地や生地を起毛化させる事は不可能です。
では、「チーゼル」につきまして
チーゼルは、マツムシ草科(2年草)の植物で、和名ではナベナ(ディプサクス)属に属し、約15種類の品種があるようです。
その中でフラーズチーゼル(FullersTeasel)、別名サティウス(Dipsacus Sativus)及び和名ラシャカキソウ(羅紗掻草)という太く曲がったトゲがある品種だけが、
起毛加工に使用する事が出来ます。
似た品種でフロヌム(Dipsavus Fullonum)という品種もありますが、これもアメリカオニアザミと同じ細い直毛のトゲであるため、
起毛加工には不向きで使用する事が出来ません。また、手で掴むとサボテン同様、手や指に刺さり大変な事になります。
では、フラーズチーゼル(Sativus)とフロヌム(Fullonum)の画像をお見せ致しましょう!
また、あざみは英語でThistle(シースル)又はサーシアム(Cisium)と言うため、昔の人がThistle(シースル)とチーゼル(teasel)で読み間違えたのでしょうか?
起毛機の名称であるTEASER RAISING MACHINE も間違えでして、TEASERの意味を調べるとTEASERは「いじめる人、からかう人」という意味の方が強いようでした。
正確な名称は、TEASEL RAISING MACHINE が正しいようです。
起毛機の画像も添付致します。
起毛加工機.pdf(TEASEL RAISING MACHINE)
以上、あざみ起毛の間違いにつきまして、ご紹介させて頂きました。