ニット用ストレッチ糸のパワー(縮率)のお話

ニット用ストレッチ糸のマニアックなお話です。

ニットマテリアルでは、日本国内に出回っている全てのストレッチ糸をプレーティングした編地スワッチを作成し、熱セット後の縮率データーを取り、お客様の要望に応じて最適なストレッチ糸をご提案させて頂いております。

 

国内ストレッチ糸の縮率比較表(詳しく知りたいお客様は問合せ下さい)

ストレッチ糸縮率データ.pdf

 

 

ストレッチ糸は、一般的に細ければパワーが弱いと思われがちですが、実は全く違います。

例えば、Pu20d×Ny70d(トータルデニール76d)タイプとPu20d×Ny30d(トータルデニール36d)タイプでどちらがセット後の縮率が高いか?と言いますと、

実は、Pu20d×Ny30d(36d)の方がトータルデニールは細いですが、やや高伸度になりセット後の縮率が増します。

これは、なぜかと言いますと、ナイロンが細くなるにつれて、ポリウレタンの混率が高くなり、ストレッチ性が増すためです。(Puが勝つのです)

Pu20d×Ny70dは一般的にNy92%Pu8%の混率であるのに対し、Pu20d×Ny30dはNy83%Pu17%となり、Puが9%もUPになります。

巻糸であるナイロンは、若干のストレッチ感はありますが、あくまでも編込み時の道糸(伸度を安定させるためのストッパー)のような役割を果たしており、直接ストレッチ性には関係ありません。

それに比べ、ポリウレタン(Pu)はカバーリング時に3.0~3.5倍の伸度設定(ドラフト)を掛けており、大きく伸びる性質があり、直接パワーに影響すると言う訳です。

なお、ポリウレタンにも弱いタイプ(湿式)と強いタイプ(乾式)があり、同じ機械の設定でも芯糸のポリウレタンの性質でパワーは異なり、カバーリング機の伸度設定(ドラフト)でも、パワーが大きく変わります。※伸度設定が低い方が低伸度となります。

ですから、細いタイプでも高伸度と低伸度があり、太いタイプにもやはり高伸度と低伸度があります。

なお、混率につきましてですが、Pu20d×Ny70dを糸屋さんでも知らずに90dと仰る方が、いらっしゃいますが、これも実は全く違います。

20dのポリウレタンには、3.0~3.5倍の伸度設定(ドラフト)が掛けられております。20dを伸度である3.5で割ると20÷3.5=約6d(緊張状態)となり、Pu6d+Ny70d=76d(トータルデニール)となります。

 

その他、ストレッチ糸の事なら、何でもニットマテリアルに相談下さい。

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